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2012年5月9日から19日にかけて、パリ北西ラ・ヴィレット公園内にある劇場で、手塚治虫漫画の世界観を表現したコンテンポラリーダンスが公演されました。振付家のシディ・ラルビ・シェルカウイ氏はベルギー出身、子供の頃から日本のアニメ、漫画文化に慣れ親しんでいらっしゃることから、このダンスの企画が実現したようです。
大変人気のある公演で、チケットは完売、会場は多くの人で賑わっていました。観客は日本人や子供が多いかもしれないと考えていましたが、日本人やアジア人は少なく、子供もちらほら。ほとんどが大人のフランス人で、日本では漫画を読まないような高齢の方もたくさんいらっしゃいました。
ダンサーが9人、ミュージシャン3人、舞踏家2人、書道一人で構成された舞台は、創意工夫に富んだシーンが目まぐるしく展開し、長時間見て飽きることがありませんでした。この舞台で主要なキャラクターを務めていたのが『鉄腕アトム』だったからか、ヒロシマ、ナガサキに続いて、3月11日に起こった東日本大震災や福島の原発事故に対しても言及されていました。去年の大惨事は、ヨーロッパから見ても日本に対する強烈なイメージとして定着しているようです。舞台の見所はダンスや音楽だけでなく、会場のスクリーンや巻物状の細長い垂れ幕に映し出される映像にもありました。その映像単体だけでも美しいのですが、生身のダンサー達がその映像効果に加わることにより、より印象の強いシーンが演出されていました。アトムやブラック・ジャックといった手塚治虫漫画の定番キャラクターが舞台上にいて、その奥に一面に吊らされた垂れ幕に般若心経が投影され、その文字自体が溶けていく様子がなんともシュールで、強く印象に残りました。舞台全体を通して、シェルカウイ氏の漫画に対する深い愛情と敬意が感じられたように思います。
この舞台で登場する主な手塚治虫作品です。
「鉄腕アトム」
「ブラック・ジャック」
「火の鳥」
「どろろ」
「MW(ムー)」
「奇子」
「ブッダ」
舞台の様子です。
SIDI LARBI CHERKAOUI – TeZukA